筑波大学微分幾何学セミナー
2019年度 講演一覧

2019年度春学期

4月17日 (水) 15:30~17:00 自然系学系棟 D棟509 井ノ口 順一 氏(筑波大学・数学域)
微分方程式の差分化と超離散化 (第1回)
概要: 諸科学における数理モデルでは微分方程式の解および微分方程式を離散化して得られる差分方程式を用いたシミュレーションが用いられる。本セミナーでは微分方程式の持つ数学的構造(保存量や対称性)を保つ差分化とそのセルオートマトン化の初歩について解説する。 第1回と第2回で微分方程式の可積分離散化を解説する。 第3回と第4回では差分方程式の超離散化について解説する。
(本セミナーは解析セミナーとの合同であり、 大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
4月26日 (金) 12:15~13:45 自然系学系棟 D棟509 井ノ口 順一 氏(筑波大学・数学域)
微分方程式の差分化と超離散化 (第2回)
(本セミナーは解析セミナーとの合同であり、 大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
5月22日 (水) 15:30~17:00 自然系学系棟 D棟509 井ノ口 順一 氏(筑波大学・数学域)
微分方程式の差分化と超離散化 (第3回)
(本セミナーは解析セミナーとの合同であり、 大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
予定していた第4回は都合により中止になりました。
5月30日 (木) 13:45~15:00 自然系学系棟 D棟509 田崎 博之 氏(筑波大学・数学域)
例外型コンパクトLie群G_2の幾何
概要: 講演内容は田中真紀子さん保倉理美さんとの共同研究に基づいている。例外型コンパクトLie群G_2はCayley数の自己同型群として定義される群である。この具体的記述を利用して、幾何学的観点から2次巡回群の積で極大な部分群を決定する。その議論の途中でG_2から定まるコンパクト対称空間G_2/SO(4)のある幾何学的構造も明らかにする。G_2/SO(4)はCayley数内の結合律を満たす部分空間の全体と対応しており、この観点からG_2/SO(4)はR^7内の有向3次元部分空間全体の成す有向実Grassmann多様体に埋め込まれ、両者のある幾何学的構造が密接に関係していることも明らかにする。
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
6月11日 (火) 15:15~16:30 自然系学系棟 D棟509 永野 幸一 氏(筑波大学・数学域)
CAT(1)空間に対する体積ピンチング定理
概要: CAT(1)空間とは,概して言えば,アレクサンドロフの意味で曲率が1以下であり,かつ単射半径がπ以上であるような測地的距離空間のことである.一般に,n次元である局所コンパクトで測地的完備なCAT(1)空間のn次元ハウスドルフ測度は,n次元標準単位球面のn次元ハウスドルフ測度以上である.Lytchak氏(ケルン大学)と筆者によるCAT(1)空間に対する体積球面定理によって,至るところn次元であるコンパクトで測地的完備なCAT(1)空間は,n次元ハウスドルフ測度がn次元標準単位球面の3/2倍未満であれば,n次元球面に同相である.筆者は,この体積球面定理のn次元ハウスドルフ測度に関する仮定は,CAT(1)ホモロジー多様体に対して緩めることができることを示した.この講演では,CAT(1)ホモロジー多様体に対する体積球面定理を中心に,CAT(1)空間に対する様々な体積ピンチング定理について報告する.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
6月27日 (木) 15:15~16:30 自然系学系棟 D棟509 本田 淳史 氏(横浜国立大学)
3次元ローレンツ多様体内の混合型曲面
概要: 3次元ローレンツ多様体内の連結な正則曲面で,空間的点集合と時間的点集合がどちらも空でないものを混合型曲面 (mixed type surface) と呼ぶ.混合型曲面の光的点は,誘導計量の特異点とみなされる.本講演では,混合型曲面の非退化な光的点におけるガウス曲率等の振る舞いを紹介する.とくに,ガウス曲率の有界性の特徴付けを与えるために,ある非退化な光的点のクラス (第1種光的点) に沿った光的特異曲率 (lightlike singular curvature) などの基本的な不変量を導入する.さらに,有界なガウス曲率を持つ混合型曲面に対するガウス・ボンネの定理を紹介する.本講演の内容は,神戸大学の佐治健太郎氏,九州大学の寺本圭佑氏との共同研究 (arXiv:1811.11392) とプレプリント (arXiv:1905.03367) に基づく.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
7月3日 (水) 15:15~16:30 自然系学系棟 D棟509 梶ヶ谷 徹 氏(東京電機大学・工学部 数学系列)
離散調和写像による曲面の一意化
概要: 任意の重み付き有限グラフXから種数2以上のリーマン面SへのSを充填する連続写像f:X→Sに対し,fのホモトピー類とS上の双曲計量全体の中にディリクレエネルギーを最小化する離散調和写像と双曲計量の組が(適当な同一視の元)一意的に存在することを示す. また, グラフにある種の対称性がある場合に, この離散調和写像と双曲計量の具体的な例を構成する.本講演は, 田中亮吉氏(東北大学)との共同研究に基づく.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
7月16日 (火) 15:15~16:30 自然系学系棟 D棟509 伊敷 喜斗 氏(筑波大学・数理物質科学研究科)
Assouad次元と距離空間の収束について
概要: Assouad次元とは距離空間に対して定義される幾何学的な次元の一種である. MackayとTysonは接錐を用いて距離空間のAssouad次元の下からの評価を行なった. そしてFraserとYuはMackayとTysonの評価を用いて, d次元ユークリッド空間の部分距離空間でAssouad次元がdになるものを, 接錐や漸近的シュタインハウス性質を用いて特徴付けを行なった. 講演者は擬錐という接錐や漸近錐を含む概念を導入することにより, MackayとTysonによるAssouad次元の評価を拡張した. そしてこの拡張された評価を用いることにより, タイリング空間に対してFraserとYuの定理を拡張することに成功した. タイリング空間とは自己相似空間を一般化した概念で, 例えばユークリッド空間や, カントール集合, シェルピンスキーのガスケットなどはタイリング空間になる. この講演ではこれらの結果の詳細を報告する.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
7月24日 (水) 15:15~16:30 自然系学系棟 D棟814 伊藤 光弘 氏
調和多様体,Fourier変換,Gauss超幾何関数
概要: 各点からの距離の関数を非自明な調和関数にもつ完備Riemann 多様体を調和多様体という.調和多様体は平坦Euclid 的または局所対称的で あろうというLichnerowicz 予想に対する研究が微分幾何に大きな進展をもた らしたといえるが,予想の反例となる非コンパクトDamek-Ricci 空間が1990 年代に見いだされるに及んで,調和多様体の研究は次の段階にあゆみを進めた といえる.非コンパクト調和多様体がDamek-Ricci 空間に限るかというAnker et al.(1995) による問題提起に関連して,本講演では非コンパクト,非正曲率調 和多様体に超幾何型なる新たなクラスを設定し,その上で展開されるFourier 変換,特に球Fourier 変換論について紹介する.反転公式,Plancherel 定理等 について解説する.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
7月30日 (火) 15:15~16:30 自然系学系棟 D棟509 今田 充洋 氏(茨城工業高等専門学校)
超ケーラー多様体の複素超曲面における複素概接触計量構造について
概要: 複素(概)接触計量構造を持った複素多様体の構成について、講演者の結果を述べる。本講演では、超ケーラー多様体の複素超曲面を具体例として挙げ、自然な包含写像を通して、超ケーラー構造が複素超曲面の複素(概)接触計量構造を誘導することを説明する。 時間が許せば、複素接触幾何学における講演者の他の結果についても触れる。
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
9月24日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟718 清水 雄貴 氏(京都大学)
幾何解析としての曲面上の流体力学
概要: Riemann多様体(M,g)上の非圧縮非粘性方程式であるEuler–Arnol'd方程式は 流れ場Mの体積保存微分同相群SDiff(M)上の測地線方程式として導出される. 流れ場が曲面である場合には,点渦力学系と呼ばれる, 物理学的に自然に導出されるEuler–Arnol'd流の有限次元縮約系を 用いることができる. そこで流体力学において発達してきた研究手法のSDiff(M)上の無限次元Riemann幾何学 への貢献が期待される. また粘性流体方程式に関しては複数の一般化が考えられ, それらの方程式論的差異への理解が求められている. 本講演では曲面上の流体方程式の厳密解を用いた幾何解析を行い, 曲面上の流体運動が流れ場の幾何構造によって どのような影響を受けるかを考える. 上記の問題設定について概説したのち,講演者がこれまでに得た結果を紹介する.
(本セミナーはトポロジーとの合同セミナーです。)

2019年度秋学期

10月2日 (水) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟718 馬場 蔵人 氏(東京理科大学理工学部)
コンパクト対称三対と一般化された双対性
概要: 対称空間論において、重複度付き制限ルート系あるいは佐武図形はコンパクト型リーマン対称空間の局所同型類を一意に定めることが知られている。また、コンパクト型リーマン対称空間の局所同型類の全体と非コンパクト型リーマン対称空間の全体の間にある双対とよばれる一対一対応によって、コンパクト型リーマン対称空間(の局所同型類)、非コンパクト型リーマン対称空間、重複度付き制限ルート系が三位一体として捉えられると言えよう。本講演では、コンパクト型リーマン対称空間の局所同型類の一般化としてコンパクト対称三対を考え重複度付き対称三対や二重佐武図形を用いた分類について説明する。さらに、双対性の自然な拡張を導入することで上記の三位一体の関係がコンパクト対称三対、擬リーマン対称対、重複度付き対称三対の間に見いだされる。この関係は一般化された双対性とよばれ、Bergerによる擬リーマン対称対の分類の(シンプルな)別証明や対称空間上のある種の群作用に関する結果を与えることについても説明する。
10月4日 (金) 15:15~16:30 自然系学系棟 B棟718 荒木 義明 氏(日本テセレーションデザイン協会)
テセレーションから広がる数学とその周辺
概要: テセレーションは敷きつめ模様のことで、 その素朴さゆえに、自然界はもとより、数学や諸科学の対象の中に広く現れます。 本講演では、テセレーションに魅了された人々が見出した数学的な構造について、自身の例も含め紹介します。 また数学やテセレーションの魅力を広げるための、教育やアートにおける最近の活動についてもお話しする予定です。
(本セミナーは数論セミナーとの合同であり、 大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
10月9日 (水) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟625 木村 真琴 氏(茨城大学理学部)
非平坦複素空間形の実超曲面のガウス写像
概要: 複素射影空間の実超曲面に対して、複素2-平面のなす複素グラスマン多様体へのガウス写像を定義し、 特にホップ超曲面については、ガウス写像の像が四元数ケーラー構造に関して(半分次元の)全複素部分多様体となることを述べる。複素双曲空間の実超曲面についても同様の結果が成り立つことを紹介する。
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
10月15日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟718 佐々木 優 氏(筑波大学・数理物質科学研究科)
対蹠集合の連結性と等質性
概要: コンパクト対称空間において,対蹠的な2点に関してある種の連結性を導入する.この連結性を用いて,与えられたある条件を満たす対蹠集合からその対蹠集合を含むようなより大きな対蹠集合を構成する方法を発見できたので紹介する.また対蹠集合自体にも連結性を導入することで,極大対蹠集合が等質になるか否かの判定条件が一部得られたのでこれも紹介する.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
10月25日 (金) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟625 大野 晋司 氏(日本大学文理学部)
Hermann作用の軌道の幾何学的性質
概要: コンパクトRiemann対称空間の等長変換群の対称部分群による等長的な作用をHermann作用と呼ぶ. コンパクト半単純Lie群について, 二つの対合的自己同型写像を定めることで, Hermann作用は定まる. Hermann作用はコンパクトRiemann対称空間のイソトロピー作用の一般化であり, 特に超極作用であることが知られている. Korllossの超極作用の分類から, 既約コンパクト対称空間への余等質性が2以上の超極作用はHermann作用であることがわかる. Ikawaは制限ルート系の一般化である重複度付き対称三対の概念を導入し,二つの対合が可換であ る場合に, Hermann作用の軌道が, 極小, austere, 全測地的であるための必要十分条件を重複度付き対称三対の言葉で記述した. 本公演では対合の可換性を仮定せずに, Hermann作用の軌道の部分多様体としての性質を調べる方法を紹介したい. 特に軌道の第二基本形式を計算し, 極小, austere軌道の特徴づけを与え, 軌道が弱鏡映, aridになるための十分条件を与える.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
10月29日 (火) 15:15〜16:45 第一エリア 1E棟1E302 酒井 高司 氏(首都大学東京理学研究科)
Natural Γ-symmetric structures on R-spaces
概要: Γ対称空間の概念はk対称空間の一般化として1981年にLutzにより導入された.本講演ではGozeとRemmによるΓ対称対を用いて,R空間上に定まるΓ対称空間の構造を考える.R空間に,ある種の自然な方法により,ΓがZ_2の冪であるようなΓ対称空間の構造が入るための必要十分条件をルート系の条件として与える.これにより,自然な方法によりΓ対称空間の構造が定まるR空間を分類することができる.特にΓ=Z_2の場合は,対称R空間が得られる.
コンパクト対称空間の対蹠集合の定義はΓ対称空間に対して拡張される.我々が与えたR空間上の自然なΓ対称空間の構造に関する極大対蹠集合は,Weyl群の軌道として与えられることが示される.これは田中-田崎による対称R空間の極大対蹠集合に関する結果の拡張になる.
本研究はPeter Quast氏(Augsburg大学)との共同研究による.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
11月11日 (月) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟718 田中 真紀子 氏(東京理科大学理工学部)
古典型コンパクト対称空間の極大対蹠集合
概要: 本講演は田崎博之氏との共同研究に基づいている。古典型コンパクト対称空間Mを古典型コンパクトLie群Gに極地として埋め込むことにより、Gの極大対蹠部分群の分類結果の行列を用いた具体的表示を用いてMの極大対蹠集合の具体的表示を決定する。さらに極大対蹠集合の元の個数を求め、それらの最大値および最大値を取る極大対蹠集合を決定する。
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
11月27日 (水) 15:15〜16:45 自然系学系棟 B棟625 伊藤 光弘 氏
調和多様体とFOURIER 変換, GAUSS 超幾何関数その2
概要: 前回の講演では非コンパクト,単連結,非正曲率の調和多様体に対し超幾何型なるタイプを設定し,その上での球Fourier 変換論について紹介した.本講演では, 超幾何型調和多様体は実際に微分幾何学的にどのような性質をもつかという点について解説したい.特に測地球面やホロ球面といった幾何的に定義される超曲面に焦点をあてて議論を展開したい.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
12月2日 (月) 15:15〜16:45 自然系学系棟 B棟718 Marian Ioan Munteanu 氏(University "Al.I.Cuza" of Iasi)
Contact CR-submanifolds in Sasakian spheres: new examples.
Abstract: In this talk we focus on those proper contact CR-submanifolds, which are as closed as possible to totally geodesic ones in the seven dimensional spheres endowed with its canonical structure of a Sasakian space form. We give a complete classification for such a submanifold having dimension 4 and describe the techniques of the study. We present also some very recent developments concerning dimension 5 and propose further problems in this direction.
12月3日 (火) ~ 6日 (金) 第一エリア 1E棟1E505 井川 治 氏(京都工芸繊維大学)
集中講義「数学特論B (FB14161)」
タイトル: 群作用の幾何学への応用

日時
12月3日(火) 10:00-12:00 13:30-14:30
12月4日(水)から6日(金) 10:00-12:00 14:00-16:00
概要: この講義では集合と群の定義を既知とし,群が集合に作用している場合を扱う.対象となる集合はベクトル空間やそこから派生してくる空間であり,対象となる群は行列で表示される群である.群作用の軌道全体のなす空間が明示的に表示できる具体例を扱う.行列の階数や簡約化,コーシー・シュワルツの不等式もこの視点から見直す.目標はWirtinger不等式を紹介し,証明を与えることである.
 予備知識は集合,群,ベクトル空間,内積,Hermite内積などである.
12月3日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟718 井川 治 氏(京都工芸繊維大学)
Hermann作用の全測地的軌道の特徴付けとその応用
概要: Hermann作用はコンパクト対称空間への良い性質をもつ等長変換群の作用である.この作用の軌道空間上に性質の良い関数を定義し,この関数の最大値を与える点で全測地的軌道を特徴付ける.応用としてWirtinger不等式を示す.これらの双対とその応用についても考察する.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
12月9日 (月) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟718 井ノ口 順一 氏(筑波大学・数学域)
対称R空間の部分多様体論(試論)
概要: 対称R空間の部分多様体論を展開するための試論として球面の共形変換群のもとでの部分多様体論についてブラシュケ学派による古典的な成果と可積分幾何の観点からの研究手法を解説する。
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
1月6日 (月) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟718 中田 文憲 氏(福島大学)
G2 対称性を持つ等質空間とその幾何構造
概要: 例外型単純リー群 G2 は様々な部分群を持ち、それらを等方部分群とする等質空間が存在する。これらの等質空間はそれぞれ個性的な幾何構造を持ち、互いに関連している。例えば G2/SO(4) は四元数ケーラー構造を持ち、そのツイスター空間はG2/U(2)となり、さらにその上の S1束であるG2/Sp(1) は 3-佐々木構造を持つ。このような構造の具体的な表示や、各等質空間の統一的な解釈の方法について紹介する。本研究は橋本英哉氏(名城大)・間下克哉氏(法政大)・大橋美沙氏(名工大)との共同研究である。
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
1月14日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟718 三石 史人 氏(福岡大学)
pエネルギーのある種のミニ・マックス値とパッキング半径
概要: Grosjean (2005) は閉リーマン多様体に対し, pラプラシアンの最小正固有値の(1/p)乗が, pを無限大に飛ばしたときに, 空間の直径の逆数の2倍になる事を証明した. 講演者はこの主張の「第k版」を考えた. 「k番目の直径」に対応する量は, Grove-Markvorsen が導入した第(k+1)パッキング半径である. そして「k番目のpラプラシアンの固有値」の代替物としてある種のミニ・マックス値を考えるのだが, その定式化は講演で紹介する. また, この結論は, Ambrosio-Honda の議論をならえば, RCD空間と呼ばれる特異空間に対しても成立する事を余力があれば紹介したい.
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
1月29日 (水) 15:00~16:30 自然系学系棟 B棟718 入江 博 氏(茨城大学)
凸体のvolume productについて
概要: Euclid空間E^nの中心対称な凸体とその極凸体の体積の積はvolume productと呼ばれ、E^nのアフィン変換に関する不変量である。volume productの値の下からの評価の研究は、古典的な数論の研究に現れ、その後、凸体の幾何学の研究のなかで長い歴史をもつ。本講演では、特に3次元の場合を中心にこの概念について紹介する。時間が許せば、中心対称性を直交群の離散部分群に一般化した問題についても触れたい。 本講演は柴田将敬氏(東工大)との共同研究に基づく。
(本セミナーは大学院科目「数学フロンティア」対象セミナーです。)
3月2日 (月) 15:15~16:30 自然系学系棟 B棟718 前田 瞬 氏(島根大学)
本講演は中止します
3次元山辺ソリトンと部分多様体としての山辺ソリトン
概要: R. S. Hamilton は1980年代に山辺フロー及び山辺ソリトンを導入した。山辺ソリトンの分類問題は曲率に関するいくつかの仮定のもとで研究され,現在活発に研究されている。本講演では3次元山辺ソリトンの分類問題に対して得られた結果を紹介する。また,ユークリッド空間内の山辺ソリトンをある種の制限の元で分類した結果を紹介する。なお,部分多様体としての山辺ソリトンに関する研究は島根大の瀬古竜也氏との共同研究である。

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管理: 田崎博之 
更新日:2020年9月7日